よいコンテンツをつくり、こまめに投稿を行っても、それがファンのニュースフィードにリーチしていなければ意味がありません。今回は、Facebookページのリーチを最大化させるために意識しておくべき5つのポイントをご紹介します。
こんにちは、SMM Labの小川です。
今年2月に開催されたfMCにて、Facebookより「Facebookページからの投稿の、ファンのニュースフィードへのリーチ率は平均16%である」とのコメントがありました。この数字に衝撃を受けた企業担当者も多かったのではないでしょうか?
企業がせっかくよいコンテンツをつくり、マメに投稿をしたとしても、そもそも見てもらえなければ意味がありません。
そこで今回は、Mashableの「5 Tips to Maximize Your Brands’s Facebook Reach」を元に、Facebookページの「リーチ」についての基本的な考え方と、今後企業がFacebookの新広告「Promoted Post(リーチ拡大を保証する広告)」についてどのように考えておくべきかについてまとめてみたいと思います。
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「エッジランク」の仕組みを理解しよう
ニュースフィードへのリーチに、Facebook独自のエッジランクという仕組みが適用されていることはご存知でしょう。この「エッジランク」とは、Facebookが「どのコンテンツが表示させるにふさわしいものか」を判断しているアルゴリズムのことです。この「エッジランク」をいかに上げるかが、リーチを拡大させるための最も重要なポイントとなります。まずは、このエッジランクの仕組みを今一度見直してみましょう。
エッジランクを構成する3要素:親密度、重み、経過時間
エッジランクを構成する要素は、affinity(親密度)、Weight(重み)、Time(経過時間)の3つです。これら3つの要素のスコアがFacebook独自のアルゴリズムで総合的に判断され、その結果として「表示するにふさわしいコンテンツかどうか=リーチ率」が決定されます。
では、1つ1つの要素を見て行きましょう。
affinity(親密度)=あるファンがあなたのページにどれくらい反応しているか?
親密度とは、あるファンとFacebookページの間の親密度のことです。つまり、あるファンが、普段からどれくらいあなたのFacebookページの投稿に反応しているか?、過去にエンゲージメントしているかを意味します。
具体的には、以下の通りです。
・投稿へのいいね!、コメント、シェアをした回数
・ソーシャルプラグイン上でいいね!、コメント、シェアをした回数
・Facebookページを見に来た回数や、Facebookページ上で過ごした時間
・Facebookページに書き込みをした回数
これらの回数や、時間が多いほうが、そのファンとFacebookページの親密度が高いと判断されます。
Weight(重み)=あなたのページはファン全体からどれくらい反応されているか?
重みとは、Popularity(人気)とも言われ、あなたのFacebookページのコンテンツが、ファン全体からどれだけエンゲージされているかを表します。つまり、あなたのFacebookページからの投稿が、どれくらい多くの人に反応されているか、またどのような反応を得られているか(いいね!なのか、あるいはシェアもされているのか)を意味します。
具体的には、以下の通りです。
・投稿にいいね!やコメント、シェアをした人数
・投稿にどのような反応が付いたか
一般的にはシェア>コメント>いいね!の順に重み付けされているといわれます。
つまり、より多くの人から「シェア」されるコンテンツ方が、最も重要度が高いと判断されます。
Time(経過時間)=あなたのFacebookページの投稿がどれだけ新しいものか?
経過時間とは、あなたのFacebookページからの投稿がどれだけ新しいものかを表します。つまり、最近投稿されたものほど表示される確率が高く、古い投稿ほど表示する価値がないものと判断されます。これは、ある意味当たり前のことといえるでしょう。
具体的には、以下の通りです。
・投稿されてからの経過時間
・投稿にいいね!、シェア、コメントがついてからの経過時間
新しい投稿、また過去の投稿だとしても直近でいいね!やコメント、シェア等が付き反応があった投稿の重要度が高いと判断されます。
上記の「エッジランク」の仕組みを理解することが、Facebookページからのリーチを広げるための第一歩です。では、この「エッジランク」をあげ、リーチを拡大するために意識しておくべき5つのポイントをご紹介します。
1.オーディエンスを知ろう
インサイトを活用して、徹底的にファンが求めているコンテンツを研究しましょう。
・ファンの反応が良いコンテンツの内容、時間、投稿タイプ、及びその組み合わせは?
・閲覧している状況は?(仕事中、プライベート etc)
・閲覧しているデバイスは?(PC、モバイル etc)
・1日の適切な投稿数は?
過去のデータを見て、ファンの反応がよい内容に徹底的にチューニングを繰り返していくことで、ファンからのエンゲージメント率を上げることができるでしょう。
2012年3月に開催されたfMC Tokyoにて、Facebookのアジアパシフィックディレクター ステファン・ドーラン氏により語られた「成功するインサイト活用法」もぜひ参考にして下さい。
参考記事:【fMC Tokyo 2012レポート】Facebookが目指すマーケティングの本質とは?(3)
2.「簡潔」「時事ネタ」「気軽さ」を大切に
一般的にファンからの反応がよいとされる共通点を踏まえておきましょう。
・投稿の簡潔さ:文章の長い投稿はユーザーから読まれず、アクションされにくい傾向にあることが分かっています。簡潔で、簡単で、理解しやすいコンテンツを心がけましょう。fMC Tokyoでも、Facebookグローバルアカウントチームのマルコ氏・グローバルカスタマーマーケティングのナミタ氏より、「投稿は100から200文字(半角文字の場合。日本語だと50字から100字となり、目安としては3行以内)だと、それ以上の投稿より60%以上のいいね!される確率が高まる」とのコメントがありました。
・投稿の時事性、話題性:時事性のあるタイムリーな投稿は、ファンの気持ちを高め、エンゲージメントを促進します。常に時事ネタ、話題性のあるコンテンツを探す癖をつけましょう。
・気軽さ:気軽に、ファンに対していいね!やコメント、シェアを呼びかけてみましょう。単純な呼びかけには、意外と反応があるものです。fMC Tokyoにて、Facebookのアジアパシフィック地区マーケティングを担当メグ・スローン氏は、「ファンとの関係構築において大切なのは、頻繁かつ軽量なインタラクション『Frequency Light Interaction(F.L.I.)』つまり、気軽に交流すること」と語りました。怖がらずに、時には直接ファンに呼びかけてみることも有効です。
参考記事:【fMC Tokyo 2012レポート】Facebookが目指すマーケティングの本質とは?(2)
3.コンテンツに注力せよ
何を言っても、Facebookのリーチを拡大するために一番大切なのは「コンテンツ」です。ファンが広めたくなるような、価値あるコンテンツを提供しましょう。
・写真:投稿タイプの中では、写真が最もエンゲージメントが高いと言われます。さらに、アイキャッチを引き、分かりやすい写真は、Facebookのエッジランクにおいても重要視されています。
・質問形式:投稿を質問形式にすることで、ファンの反応を引き出しましょう。
・パーソナリティ:お気に入りのものや、ちょっとした雑学など、ブランドや、その中の人の「パーソナリティ」が分かる投稿も、最もシェアされるコンテンツの一つです。
ファンにシェアされるコンテンツを作るためには、「ファンがシェアするときの心理」を把握することが大切です。こちらも、以下の記事をぜひ参考にしてください。
参考記事:あなたのコンテンツがソーシャルネットワークでシェアされない9つの理由
(シェアされない理由から、シェアしてもらうためのポイントについてご紹介しています)
4.エンゲージメントにエンゲージメントせよ
ファンは自分の好きなブランドに、自分の話を「聞いてもらえている」ことに喜びを感じます。しかしながら、多くのソーシャルメディア担当者はそれを見落としがちです。ファンからコメントが付いたら、ぜひそれに対して反応をしましょう。
・ファンからのコメントに、できるだけコメントで返信しましょう。その際、@ファン名(半角アットマークの後ろにファンの名前)で個人名にタグをつけ、個人に対して返信するようにします。タグ付けすることで、ファンもFacebookページから自分宛にコメントが返されたことに気がついてくれます。
・コメントをつけるのが難しい場合でも、「いいね!」だけは付けるようにしましょう。
ファンとコメントをやり取りすることで、ファンとの間のaffinity(親密度)が高まるだけでなく、ページとしてのWeight(重み)も高まります。また、コメントを返信することで、そのコメントにさらにファンが「いいね!」をつけてくれることもしばしばあるでしょう。これにより、さらにエッジランクが高まる効果があります。
5.ファンの友達をファンに
「ファンの友達」は、非常に重要な存在です。一般的に「ファンの友達」は、そうでない人よりもFacebookページやWEBサイトを訪れ、商品を購入してくれたり、ファンになってくれる傾向にあります。「ファンの友達」へのリーチをいかに増やすか、という観点はとても重要です。
・「ファンの友達」は、ファンがFacebookページの投稿にいいね!やコメントを付けた行動(activity)を、ニュースフィード右側のティッカーで見ることができます。ファンとのやり取りを深めることで、まずは「ファンの友達」へのオーガニック・リーチを目指しましょう。
・Facebook広告を活用して、「ファンの友達」へのリーチ拡大も検討しましょう。
リーチを拡大するためには、やはり広告が必要不可欠?!
上記の5つのポイントを見ると、
・ファンのことを徹底的に考え、受け入れてもらえるコンテンツ投稿を行うこと
・ファンときちんとコミュニケーションを取ること
という、Facebookページ運営の本質を追求していくことこそが、エッジランクを高め、ファンのニュースフィードへのリーチを拡大することだと分かります。
しかしながら、「とはいえ、やはりそれにも限度があり、最終的にはリーチを拡大するためのFacebook広告を出稿しなければ、リーチ率は上がらないのでは?」と思われる企業担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、ここには『見逃しがちなポイント』があるのです。
上図:Facebookの新広告と言われる「Promoted Post」。投稿のリーチを拡大できるとされる。
参照元:http://marketingland.com/facebooks-promoted-posts-rolling-out-heres-what-it-looks-like-12917
下記ヘルプページから広告の詳細が確認できます。
https://www.facebook.com/help/promote
「リーチ」と「最終リーチ」は違うもの!
重要なことは、「リーチ」と「最終リーチ」を分けて考えることです。ここでの「リーチ」とは、「ファンのニュースフィードへのリーチ」を指します。一方で、「最終リーチ」とは、「ファンのその先の友達や、そのまた先の友達も含めたリーチ」を意味します。
分かりやすくするために、非常に単純な例を用いてご説明します。
例えば、ファン数1, 000名のFacebookページを持つ、A社、B社を例に考えてみましょう。
(A社)リーチ拡大のための広告(Promoted Post)を使って、ある投稿の、ファンのニュースフィードへのリーチを70%にまで高めた。その反応率は標準的な「1%」である。
この場合、1, 000人×70%=700人のニュースフィードに投稿が「リーチ」します。
この700人の内、1%の人が投稿にいいね!コメント、シェアなどの反応をしたとします。
すると、反応した人は、700人×1%=7人です。
この7人の平均友達数が130人だとすると、
7人×130人=910人に「最終リーチ」するという計算です。
(*話を単純化させるために友達全員に届くと仮定します。実際にはもう少し少ないです。また、この時点を最終リーチとしますが、実際にはもっと波及効果は大きいですね)
(B社)特に広告は利用せず、ファンのニュースフィードへのリーチは20%。しかしながら、反応率は「5%」と、標準より高い数字を出すことができている。
この場合、上記と同じように計算すると、
1, 000人×20%=200人(リーチ)
200人×5%=10人(反応した人)
10人×130人=1, 300人(最終リーチ)
となり、A社の910人より、B社の1, 300人の方が「最終リーチ」は大きいことが分かります。
つまり、最終リーチを拡大させるために最も重要なポイントは反応率(=エンゲージメント率)であり、先に述べた
・ファンのことを徹底的に考え、受け入れてもらえるコンテンツ投稿を行うこと
・ファンときちんとコミュニケーションを取ること
という本質的な運用を行うことが重要なのです。
リーチを拡大する「Promoted Post」に頼って一時的なリーチ率を高めたとしても、本質的にエンゲージメント率を上げる努力をしなければ、最終リーチを拡大することもできませんし、エッジランクも上がらないので、ずっとお金を払って一時的なリーチを確保せざるを得ない状況になってしまいます。
Promoted Postは、さらなる「最終リーチ」の拡大と「既存ファンの掘り起し」に使おう
では、「Promoted Post」はまったく意味がないかというと、もちろんそんなことはありません。ポイントを押さえて活用することで、効率よくエンゲージメント率を高め、エッジランクを上げることが期待できます。
具体的には、以下のような投稿に「Promoted Post」を活用すると良いでしょう。
・キャンペーン告知の投稿
・ユーザーからのリアクションを促す投稿
・思わず「いいね!」したくなるような写真投稿
つまり、日常の投稿の中でも、特に反応率が高いと見込まれる投稿に焦点を絞って「Promoted Post」を活用することで、母数である「リーチ」を広げ、そこに「高い反応率」を掛け合わせて投稿の「最終リーチ」を拡大したり、また休眠してしまっているファンに魅力的なコンテンツを届けることで、再度affinity(親密度)を上げること(既存ファンの掘り起し)が期待できるのです。「Promoted Post」の上手な活用により、Facebookページのエッジランクを一段上に上げることで、その後の拡大施策も立てやすくなるでしょう。
FACEBOOK LIKE / owenwbrown
尚、これはFacebookページのリーチだけでなく、「ファン数(いいね!数)」獲得を目的としたFacebook広告やキャンペーンにも同じことが言えます。当初、一定の人数が集まるまではこれらは大変有効な施策ですが、いつまでもただ「いいね!」を増やしていればよいという訳ではありません。ある一定の人数が集まった後は、その集まったファンとの関係性をいかに温めるか、つまりエンゲージメント率を高めるかという観点でFacebook広告やキャンペーンを活用することが大切です。
以上、今回は「Facebookページのリーチを最大化させるために意識しておくべき5つのポイント」をお届けしました。「本質の追求」は遠回りなようで、実は一番の近道と言えます。焦らず、じっくりと、本質を常に意識しながら、ページの運営に取り組んでいきたいですね。
■参考記事:Mashable 「5 Tips to Maximize Your Brands’s Facebook Reach」
http://mashable.com/2012/05/24/facebook-reach/
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超重要!Facebookページのリーチを最大化させるために意識するべき5つのポイント
2012.05.31
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