スマートフォン×ソーシャルメディア時代に改めて見直されている「QRコード マーケティング」について、その背景と具体的な事例をご紹介します。
こんにちは、SMM Labの小川です。
「Facebook」をはじめ、日本で急速に利用が進むソーシャルメディア、そしてそれを後押しする「スマートフォン」の普及。
非常に相性がよいとされる両者を結びつけるツールとして、またO2O(今回の文脈ではOffline to Online=オフラインでの活動をオンラインへ結びつける、といった意味)を促進するツールとして、海外では、今改めて「QRコードマーケティング」が見直されています。
そこで今回は、2回にわたり、スマートフォン×ソーシャルメディアの特性を活かした「QRコードマーケティング」を取り上げ、改めて今見直されている理由や、実際の活用事例、また具体的に自身のビジネスに活かす為のポイント等をまとめてご紹介します。
QR Code Marketing in Bluffton, SC Real Estate / haroc
今見直される「QRコードマーケティング」
QRコードとは、1994年にデンソーの開発部門(現在は分離しデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型二次元コードであり(Wikipediaより)、現在ではほとんどのカメラ付き携帯電話・PHS端末から読み込みが可能となっています。
携帯電話・PHS内蔵カメラでコードを撮影・読み込むことで簡単にQRコードの情報内容を認識させることができるため、多くの企業が、特定のURLへユーザーが簡単にアクセスできる手段として、自身のホームページや印刷媒体でQRコードを活用しています。
この「QRコード」はもうすっかり日本にも定着しており、むしろ「従来型携帯電話(ガラケー)時代」の使い古された手法のようにさえ感じられるものですが、では今なぜ改めて、見直されるようになっているのでしょうか?そこには、スマートフォンとソーシャルメディアの普及が大きく関係していると言えます。
スマートフォンの普及によるUI(User Interface)の劇的な向上
2012年2月時点で日本における15~69歳のスマートフォン普及率は 23.6%、さらにスマートフォン非所有者でもその購入意向は32.3%にも上っており、日本において普及がかなり進み始めています。(株式会社ディーツー コミュニケーションズ、スマートフォンの普及動向に関する調査より)
このスマートフォンは、ガラケーと比較して、劇的にユーザーインターフェースを向上させました。企業はスマートフォン上で、画像や動画、またアプリも含む様々な表現ができるようになり、ユーザーもまた日々の生活を豊かにするツールとして、積極的にモバイルを活用するようになりました。
この点に着目し、「QRコード」を活用して今までは表現し切れなかったユニークなキャンペーンを行う企業が出始めています。
ソーシャルメディアで「企業」と「消費者」が簡単に繋がりをもてるように
ソーシャルメディアの普及も「QRコードマーケティング」を促進する背景となっています。
今まで、企業がQRコードを通じてユーザーと「つながり」を持ちたい場合は、「メルマガ登録」等の手段でメールアドレスを取得するくらいしか方法がなく、ユーザーにとっては「わざわざ個人情報を登録し、また提供しなければならない」、少しハードルの高いものでした。
しかしながら、FacebookやTwitter等のソーシャルメディアでは、企業とユーザーは「いいね!」や「フォロー」を通じて、簡単に繋がりを持つことできます。ユーザーは、わざわざ情報を入力することもなく、ボタン一つで企業からの情報を得ることが可能です。また簡単に解除もできるため、企業とユーザーがつながるハードルが大きく下がったといえます。
また、今まで企業がQRコードマーケティングを行いたい場合は、それ専用の受け皿(携帯電話専用のページやメルマガアドレス等)を用意する必要がありました。しかしながら、もし既にTwitterアカウントやFacebookページを持っている場合は、特に新しく受け皿を準備する必要もありません。
さらに、「ソーシャルメディア」はその特性上、企業とユーザーの1対1の関係だけでなく、その周囲の友人をも含めた関係性を築ける可能性があります。
そのため、QRコードにFacebookやTwitterのURLを設定し、マーケティングに活用する企業が増え始めています。
QRコードを活用したクリエイティブな9つの海外&国内事例
では実際に、企業はどのようにQRコードをマーケティングに活用しているのでしょうか?いくつかの事例をご紹介しましょう。
ギネスビール 『QRコードグラス』プロモーション
参考記事:http://blogtimes.jp/blog/2012/05/16852.html
黒ビールでお馴染みの「ギネス・ビール」は、ギネスを注いだときだけ読み込めるようになるQRコードを施した「QRコードグラス」プロモーションを実施。こちらのQRコードを読み取ると、この『QRコードグラスの仕掛け』について「Tweetするか」、「Facebookで共有するか」、「4squareで現在地のバーをチェックインするか」、「インスタグラムでグラス写真を投稿するか」のいずれかを選択して実行するように促され、いずれかを実施しソーシャルメディアで拡散することで、お得なクーポンをダウンロードすることができるようになったり、そのクーポンを友達にプレゼントして今いるバーに招待することができるようになるそう。他にも、このQRコードでしか得られないギネスのユニークなコンテンツなども取得できる仕掛けが施されているそうです。思わず人に話したくなる仕掛けを取り入れた、面白いプロモーションと言えます。
スターバックス QRコードを用いて店頭で「ブレンドの人気投票」を実施
参考記事:http://www.mobilemarketer.com/cms/news/software-technology/11930.html
スターバックスは、店頭からQRコードを通じて参加できるキャンペーンを実施。店頭に置いてあるPOPからQRコードを読み込むと、「好きなブランド」の人気投票に参加できる画面が表示され、お気に入りのブレンドに投票することができるというもの。投票結果はFacebookにシェアできるようになっています。また、同画面からは、各ブレンドについて学べる動画を見ることもできるそうです。ちょっとした空き時間に入ることも多いスターバックスに、このような仕掛けがあると、ついついアクセスしてしまいそうですね。
DIESEL 店頭の商品に「いいね!」できるQRコードを展示
DIESELは、読み取ることで商品に対して「いいね!」ができるQRコードを店頭に展示しました(QRコードを読み取ると、その商品に簡単にいいね!ができるページが開くというもの)。自分が好きな商品のメモ代わりに使ったり、また友人に教える手段として面白いキャンペーンと言えます。
動画はこちら
ロンドン手巻き寿司レストラン 新規開店前の建設現場にQRコードを表示 ディスカウントクーポンを得られるゲームへ誘導
参考記事:http://www.qrcodepress.com/sushi-restaurant-in-london-launches-interactive-qr-code-campaign/856695/
ロンドンの手巻き寿司レストランは、新規開店前の工事現場の仮囲いにいくつかのQRコードを表示しました。そのQRコードを読み込むと、開店後のお店で使えるディスカウントクーポンが得られるゲームに参加できる画面が開くそうです。ゲームに失敗しても、また別のQRコードを読み込むことで再チャレンジも可能とのこと。
ハイネケン 音楽イベントで個人間のコミュニケーションを促すQRコードプリントを配布
参考記事:http://www.simplyzesty.com/advertising-and-marketing/heineken-turn-people-in-to-qr-codes-with-brilliant-marketing-campaign/
ハイネケンは、音楽イベントのブースにて、参加者同士のコミュニケーションを促すQRコードを配布しました。こちらのQRコードを読み込むことで、参加者それぞれのプロフィールにアクセスでき、参加者同士が気軽にコミュニケーションをできるようになるというもの。結果、イベントを通じて5, 000人以上の人が参加し、多くの写真がFacebook等にアップされたそうです。もちろん、こちらのQRコードプリントには、ハイネケンのロゴマークが表示されています。
インドの人気クラブ お客さんの腕に、時間帯によって内容が変わるQRコードスタンプを押印
参考記事:http://markezine.jp/article/detail/15094
インドの人気クラブ「Turquoise Cottage」は、2011年のクリスマスイブに入場した客の腕にQRコードスタンプを付けました(同クラブではBuddy Stampと名づけている)。このQRコードは、読み込む時間帯によって内容が変わるというもの。例えば午後8時~午後10時には、本日のオススメメニューや割引情報が、午後10時~午前6時にはワンタッチで帰宅用のタクシーを呼ぶことができる画面が表示されるとのこと。来店した客の85%がスマートフォンを利用してこのQRコードを読み込み、さらにインターネット上で数多くの体験談が共有されたそうです。
動画はこちら
韓国最大手スーパー お昼だけ限定のQRコードで同時間帯の売上25%UP
参考記事:http://blogtimes.jp/blog/2012/05/16875.html
韓国最大手のスーパー「Emart」は、正午から午後一時までのランチタイムの売上が伸びないという課題を、「ランチタイムだけ限定で読み込めるQRコード」を活用して解決しました。“太陽の傾き加減”により正午から午後1時までの時間帯だけスマートフォンで読み取りが可能になる「巨大なQRコード」を店の前に設置、こちらのQRコードを読み込むともれなく12ドルのクーポンなどスペシャルな特典を得ることができるというもの。このプロモーションはマスコミからも取り上げられ非常に話題になり、同時間帯の売上げを25%伸ばす結果が出たそうです。
動画はこちら
アイディア次第で様々な活用ができる
上記事例のように、QRコードは、ホームページや店内のPOP、印刷物だけではなく、様々な場所に活用が可能です。またその用途も、キャンペーンへの参加を促すもの、クーポンを配布するもの、興味深いコンテンツによりユーザーに楽しさを提供しエンゲージメントを高めるものなど、色々なアイディアでユーザーとの接点作りに活用できることが分かります。
今回ご紹介した事例は少し大掛かりなものもありますが、QRコードはより身近なプロモーションとしても十分活用の価値があると言えます。次回は、実際にQRコードプロモーションを行うための具体的なアイディアや、確認するべきポイントをご紹介します。
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2012.05.17
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