配信環境の高速化、モバイルデバイスの爆発的な普及により、デジタルコンテンツのリッチ化は今後ますます進んでいくと考えられています。機材や配信のコストも低下し、手軽に動画を作成することが可能になりましたが、だからこそ、一体どんな動画を作成したら、自社にとって有益なコンテンツになるのか?企画や内容がより一層重要になってきています。そこで、今日はビジネスに効果的な動画コンテンツの利用法をまとめてご紹介します。
こんにちは、SMMLabの藤田です。
前回「YouTubeを効果的にビジネスに活用するための9つのヒント」では、マーケティングに動画コンテンツを取り入れるメリットと効果的に活用するヒントをご紹介しましたが、今日は実際に動画にはどんな利用法があるのかを、“51 ways to use web video to help your business grow”という海外記事を元に考えてみたいと思います。ぜひ、あなたのビジネスを成長させる動画作成のヒントにしてください。
via.“51 ways to use web video to help your business grow”
カスタマーリファレンス(顧客用解説マニュアル)
1. お客様の声やハウルビデオ
いわゆる『お客様の声』を文章ではなく、動画で収録。
消費者が顔出しをして感想やコメントすることで、文字だけでは伝わらない説得力が生まれます。
参考:健康家族オンラインショップ「動画で見るお客様の声」
http://www.kenkoukazoku.co.jp/movie/index.html
また、海外では購入した商品についての意見・感想を消費者が自ら語った「ハウルビデオ」も注目されています。投稿してもらって賞品をプレゼントするキャンペーンを実施している企業もあります。
http://www.youtube.com/user/juicystar07?feature=watch
ハウルビデオで最も影響力があるといわれるファウラー姉妹のYouTubeチャンネルは、登録者が約985, 000人、総再生回数は約2億回の人気ぶり。
2. サクセスストーリー(動画インタビュー)
『お客様の声』と同様、実際の利用者の成功体験を、視聴者が自身に投影しやすい。導入イメージの想起を促進出来ます。
参考:ベネッセ小学生向け英語学習プログラム「BE-GO」
http://www.benesse.co.jp/be-go/voice/movie.html
3. ケーススタディ
導入前と導入後をストーリーとして伝える事が出来るので、具体的な提案として、視聴者が課題解決の流れをイメージしやすい。
参考:ソフトバンク法人向けサービス
http://mb.softbank.jp/biz/case/video/
4. 街頭インタビュー
ユニリーバ「AXE」のキャンペーンサイト“THE AXE EFFECT“では、“AXE RESEARCH LAB”として、「男の香りを女の子たちはどう思ってる?」街頭調査を掲載。リアリティのある女性の意見でターゲットである男性ユーザーの購買欲を高めています。
参考:ユニリーバ「AXE」“THE AXE EFFECT“
http://www.axeeffect.jp/lab/
5. 顧客向けプレゼンテーション
顧客向けのセミナーなどを動画にまとめましょう。
製品やサービスの認知向上
6. 製品紹介
製品やサービスの特長や機能をわかりやすく説明するのが目的。必要以上に商品を良く見せようとするのではなく、商品を実際に人が使っている、持っている、身につけているという描写で、購入後のイメージを想起させるものが効果的。
7. 製品デモンストレーション
「JOYUS」は動画をメインにテレビショッピング形式で商品を紹介し、ユーザーの購買意欲を高めることを目指した動画活用ショッピングサイトです。
JOYUS
http://www.joyus.com/
動画は、それぞれの分野での専門家が、商品説明を行い消費者に”買う理由”を説明、動画の途中で商品がクローズアップされるときには、”SHOP NOW(今すぐ購入)”のリンクが割引額と販売期限とともに表示されます。実際の利用方法も詳しく説明されるため、使い方を説明しなければいけない商品で特に効果的なようです。
8. 製品レビュー
9. ビジュアルストーリー
製品開発の秘話や開発者の思いを伝える。
参考:キャノンカメラミュージアム「カメラのデザインが出来るまで」
http://web.canon.jp/Camera-muse/design/making/
企業ビデオ
国内全上場企業が提供する、株主・投資家向け広報(IR)サイトの使いやすさや、情報の充実度を評価することを目的とした「IRサイトランキング」で毎年上位に入賞しているカプコンでは、企業IRサイトにも動画を効果的に取り入れています。
参考:カプコン IRページ
http://www.capcom.co.jp/ir/
10. 会社概要
11. 経営陣によるプレゼンテーション
経営陣が企業姿勢や製品開発ポリシーを語る事で信頼を得ることができます。
12. スタッフのプレゼンテーション
顧客サービス担当者、技術専門家などが顧客に直接語りかける。
スタッフの顔が見え、人柄がうかがえることで、安心感や親近感を醸成出来ます。
13. 企業の設備や機器のツアー
バーチャル工場見学のように体験による印象の好感化。
参考:日産自動車九州株式会社「バーチャル工場見学」
http://www.nissan.co.jp/AREA/FUKUOKA/INFORMATION/virtual2.html
14. IRレポート/レビュー
15. 自社ビデオの紹介
研修・トレーニング
16. トレーニング
機能性化粧品の老舗であるドクターシーラボでは、2009年から全商品の「使い方動画」をPC、携帯、スマートフォン向けに発信開始。ユーザーからの「効果が感じられない」という声に対し、動画によるわかりやすい情報提供で、理解不足による商品への誤解回避、化粧品の効果を最大限に感じてもらうを行うことで、潜在顧客層を誘引、リピート促進に繋げています。
参考:株式会社ドクターシーラボ「シーラボTV」
http://www.ci-labo.com/tv/
17. 専門家レクチャー(セールスサポート)
製品購入者向けプログラムである「My Sony Club」ではセミナー講師による動画レクチャーを会員限定コンテンツにしています。
参考:My Sony Clun会員限定「動画レッスン」
https://msc.sony.jp/member/about/tokuten/lesson/list.jsp#con06
18. ジャストインタイム学習( “操作方法”動画)
ジャストインタイムとは「必要な知識を、必要なときに、必要なだけ学習する」方式のことです。知りたい内容にすぐにたどり着け、必要に合わせて参照出来るように、操作マニュアルや設定方法などを用意しましょう。
参考:ソニー「動画でサポート」
http://www.sony.jp/support/walkman/movie/index.html
カスタマーサポート
19. 販売サポートおよびメンテナンスビデオ
正しい使い方や知識を動画で解説する。製品・サービスへの理解を深める事で、顧客満足度を高めます。購入前に商品に対する疑問を解決できるので、返品率の低減・カスタマーセンターへの問合せ低減にもつながります。
20. ウェブサイトのFAQビデオ
良くある質問の答えを動画でわかりやすく説明しましょう。
参考:パナソニック 動画で見るFAQ
http://panasonic.jp/support_n/haircut/faq/q_tsukaikata_movie.html
21. ライブ、双方向ビデオ(AppleのFaceTimeやSkypeなど)
テレビ通話が重要なコミュニケーション手段になりつつあります。Salesforce.comは、カスタマーサポートに FaceTime の利用を計画しているそうです。
社内コミュニケーション
22. 動画社内報
社内の様々な情報を動画で配信し、従業員が配信された動画をPCで視聴出来るようにしましょう。
・経営陣からのメッセージ
会社の業績、経営目標、ビジョンなどを、経営層が従業員に対して直接語りかけることで、自社のビジョンの共有が出来ます。
参考:経営陣のメッセージを配信する“タマちゃんTV”
http://www.dougajin.jp/interview/2012/tamahome.html
・会議の様子
経営戦略会議、支店長会議、営業会議などの様子を動画で配信。
・新製品・サービスの紹介
新製品・サービスの特長や販売時期などの情報を動画で配信。
・他店舗・従業員の紹介
他店舗の取り組みや従業員紹介を動画で配信。
・接客・オペレーションマニュアル
接客やレジの操作方法などのマニュアルを動画で配信。
ノジマでは、自らノジマ学(まなぶ)と呼んでいるeラーニングサービスを導入。従業員はIDとパスワードでノジマ学にログインし、どこにいても視聴することが出来ます。ノジマの従業員として必要最低限な業務知識が身につき、動画の最後には、内容を理解できているかどうかチェックして、自分の理解度を知ることができるようになっています。
参考:株式会社ノジマ「動画eラーニングサービスを導入して効率的な社内研修を実現」
http://www.dougajin.jp/interview/2012/nojima.html
23. イベント/会議やトレードショーのレポート
ビデオでのプレゼンテーション、デモ、インタビュー、解説などをキャプチャすることにより、実際に会場に足を運べなかったスタッフにも、これらのイベントで得た知識を共有出来ます。
24. 新入社員用オリエンテーション
各人が都合の良い時間に繰り返し見ることが出来るので、より深く理解出来ます。また、管理者は閲覧状況を把握しやすくなります。
25. 福利厚生に関する情報
防災、健康に関するマニュアルの共有や福利厚生施設の紹介、健康管理のアドバイス等に利用。
広告、マーケティング・プロモーション
26. コマーシャル
テレビ用に作成したコマーシャルを動画で配信すると、視聴回数を始めとした効果測定が可能。また、最新CMもちろん、過去に放映した作品も一緒に見てもらうことが出来ます。
参考: 東京ガス ガス・パッ・チョ! テレビCM「東京ガスストーリー2」
http://home.tokyo-gas.co.jp/pa-cho/tvcm/index.html
27. バイラル動画
バイラル動画とはネット上などで口コミで拡がり閲覧数が倍増していく動画のこと。クチコミを広げることを目的としているので、動画自体が面白いことが優先されます。
「バイラル動画」を表彰する今年の「Ad Age Viral Video Awards」で最も高く評価されたのは、Googleのブラウザ「Chrome」の一連のキャンペーン動画で、総視聴回数は1億623万回を超えました。
28. ビデオメルマガ
メールに動画ファイルが添付されている場合開封率がアップするといわれています。最近ではGmailのように動画ファイルの添付やメール内再生もなっており、ビデオメールが普及し始めています。担当者への親近感醸成にも効果的。
29. インフォマーシャル
製品・サービスの概要だけでなく、関連情報を豊富に組み込んだ情報提供型広告。ショッピングチャンネルのイメージです。
参考:ブルックス インフォマーシャル 専門店の味をおうちで篇(珈琲カプチーノ)
http://www.brooks.co.jp/bchan/bchan_movie.php?id=38
30. コンテンツ・マーケティング
自社ターゲット・ユーザーの問題解決に役立つ知識や情報を提供するコンテンツの魅力で、視聴者のファン化を目指します。
31. ランディングページやマイクロサイト
短い時間で好印象を与えなくてはいけないLPや情報量が限られるマイクロサイトでも、重要な情報をまとめて伝える事が出来ます。
32. インタラクティブビデオ
ビデオに注釈やリンクを追加できる機能などを活用して、動画の再生中もユーザの興味が途切れないように工夫しましょう。
参考:ダイキン工業 かぎはうるるとさらら!新感覚 インタクティブドラマプロモーション
http://www.daikinaircon.com/roomaircon/special/daito
YouTubeのアノテーション機能を使った、ユーザー自身がドラマのストーリー展開と結末を決める参加型の新感覚動画コンテンツ
33. ブランデッドエンターテインメントとスポンサービデオ
エンターテインメント性の高いコンテンツの中でブランドの価値を効果的に伝える、共感型のコミュニケーション手法。
PRサポートとコミュニティの関係
34. ビデオプレスリリース
35. PRサポート
36. コミュニティリレーションズビデオ
37. 企業のトークショー/インタビュー
38. EPK(電子プレスキット)
イベントの録画
39. イベントプレゼンテーションビデオ
トレードショー、会議やカンファレンスでの、営業担当者、企業幹部、業界の専門家や他の有力なビジネスパーソンのプレゼンテーション。
40. ラウンドテーブルセッション
ラウンドテーブルセッションとは,“ラウンドテーブル(円卓)”に象徴されるように,互いが平等で. 自由闊達に忌憚ない意見を交換するセッション形式。
41. Q&Aエキスパートセッション
その他の用途
42. 求人募集動画
43. VLOG(動画ブログ)
44. 店舗紹介ビデオ
45. 会社のロビー/待合室用ビデオ
46. モバイルビデオ
47. 市場調査、フォーカスグループ
48. ビデオホワイトペーパー
49. ビデオマガジン
50. 顧客向けUCGキャンペーン
製品・サービスを利用している動画のアップロードを推奨されるキャンペーンを行いましょう。
コンテンツの生成を顧客にゆだねる事で、お客様自身を表現する場を与えることが出来、
親密なコミュニケーションにつながります。
参考:グリコネットショップ「わくわくネットショップムービー」
http://shop.glico.co.jp/products/wakuwaku_movie.html
51. 開発秘話・バックグラウンドストーリー
「なぜこの商品をつくったのか、なぜこのサービスにこだわるのか」その企業ならでのバックグラウンドストーリーを語りましょう。単純に商品やサービスの特長をアピールするのではなく、ストーリー性を利用して興味を喚起することで、差別化をはかることが出来ます。また、企業の舞台裏を見せることで、消費者の心を動かし、深くて長期的な理解を促進することができます。
参考:資生堂「Pick Up Technology」
http://group.shiseido.co.jp/technology/
今回は「動画にはこんな使い方もあるんだ」という気付きを得ていただきたいと思い、あえて数を多くご紹介してみましたが、自社での活用がイメージ出来る利用法は見つかりましたでしょうか?プロ並みの技術や多額の予算がなくても、アイディア次第で動画を効果的に活用することは可能です。ここでご紹介した事例は、あくまでも利用法の実施イメージとして参考にしていただけたらと思います。
なお、事例は活用をイメージしていただきやすいように、極力日本国内のものをピックアップしたため、該当事例がない項目については順次追記して行きます。「自社ではこんな用途で動画を活用している」という事例がありましたら、ぜひコメントでお知らせ下さい!
■参考記事
・YouTubeを効果的にビジネスに活用するための9つのヒント
http://smmlab.jp/?p=7513
・最新データから分かった!ファン候補を見つけてエンゲージするための5つのヒント
http://smmlab.jp/?p=7226
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・コンテンツをバズらせるために準備しておきたい7つのステップ
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