話題のソーシャルコマース。多くの期待を集める一方で、実際にはほとんど成果が上がらず撤退する企業も多いといいます。あなたの商品をソーシャルコマースで売るために必要なことは何か?4つのヒントをご紹介します。
こんにちは、SMM Labの小川です。
今年のキーワードとして注目され、期待されている「ソーシャルコマース」。特に世界的にユーザー数が目覚ましく増加しており、Open Graph対応等でも注目を集めるFacebookをどのように実際のコマースに活かすかについて、多くの期待が集まっています。一方で海外では先進的にFacebookコマースを取り入れた数々の企業が、相次いで撤退しているというニュースも見られます。
では、この”Facebook”というソーシャルネットワーク上で、その友人を介する拡散力を活用した「ソーシャルコマース」を成功させるためには、何が必要なのでしょうか?
Social Commerce Todayに、非常にシンプルながらも説得力のある記事「ソーシャルコマースを成功させるための4つのヒント」が掲載されていたので、ご紹介します。
なぜソーシャルコマースではなかなかモノが売れないのか?
答えはとてもシンプルで、他ではなくそこで買いたいと思う「価値」、他ではなくそこで買いたいと思う「理由」がないからです。多くの企業は、自社のEコマースサイトのクローンをFacebookページなどのソーシャルメディア上につくり、同じ商品を、同じ価格で、同じプロモーションで販売しているに過ぎません。
SNSは、本来友人とのコミュニケーションを取るために訪れる場であることを、理解することが大切です。本来おしゃべりを楽しむ場で、わざわざ自分から好んで買い物をするでしょうか?もしソーシャルメディア上で買い物をしてもらいたいのであれば、「あえてその場で買いたいと思う価値」をしっかりと提供することが大切です。さらに、その「買い物」をソーシャルメディア上の友人に伝播してもらいたいのであれば、その買い物自体を「話題」にしてもらう工夫が必要になるのです。
Facebookページ等、ソーシャルメディアの場に単に買い物カートのアプリを導入するだけでは、なかなか売上げには結びつきません。
また、同じように自社ページ(オウンドメディア)の商品ページやカートに単にいいね!ボタンを設置するだけでも、なかなかうまくはいかないでしょう。なぜなら、ユーザーがいいね!をしたいと思う動機やメリットを感じにくいのです。
ソーシャルコマースを成功させるための4つのヒント
では、ソーシャルコマースを成功させるためには、どのような「価値」を提供する必要があるでしょうか?
1.Something First
ファッションブランドのBurberryは、Facebookのファンに対して、いち早く新しい香水の無料サンプリングを実施しました。さらに、無料サンプリング用の画面上には、「いいね!」を押さないと見られないファンゲートを設置する、発売日までのカウントダウン・タイマーを表示させるなど、ファンが思わずその周りの友人にシェアしたくなる魅力的な仕掛けを用意しました。
Social Commerce Todayは、さらに、「サンプリング送付時に、友人の分までサンプルを同封する」「実際の発売の際に、スペシャルプライスで購入できるVIP-CODEを送付する」「さらに、そのファンが友人にシェアすることで、友人もVIP-CODEでの購入が可能となる」仕掛けを組み入れることも考えられるのではないか?としています。
URL:http://socialcommercetoday.com/smells-like-f-commerce-burberry-body-launches-with-pop-up-facebook-tryvertising-store-images/
2.Something Unique
ファッション小売業のOscar de la Rentaは、Facebook上で、Facebookのファンだけのためのバングル(腕輪)を発表しました。同社のCEOは、ファンオンリーの商品を提供することにより、「目先のコンバージョン(売上)」を目指しているのではなく、「ファンとのエンゲージメント向上による既存顧客のロイヤリティUPと、既存顧客からのクチコミによる新規顧客の獲得」、及び「ファンのライフタイムバリューの増加」と説明しています。
URL:http://socialcommercetoday.com/oscar-de-la-renta-opens-second-f-commerce-store-to-sell-exclusive-bangles/
3.Something More
エレクトロニック・アーツ社は、ゲームBattle・fieldのファンに、Facebookページ上で新作ゲームの発売前予約をすると、限定の特典を提供するキャンペーンを行いました。
URL:http://socialcommercetoday.com/ea-opens-pop-up-fan-store-on-facebook-for-battlefield-3-launch-screenshots/
4.Something For Less
Zyngaは、人気のゲーム「YoVille」内で使えるコインを、”2日間で10万人以上集まれば通常の半額で提供”と共同購入を呼びかけ、最終的に30万人以上の人を集めました。このディールは「売上」の観点で成功しただけではなく、25, 000ものいいね!を集め、YoVilleのemailリストへの登録をも促すことができ、「セルフ・プロモーションツール」としても成功したとされています。
URL:http://tomuse.com/group-buying-facebook-zynga-yoville-game/
4つのヒントから見えてくる、ソーシャルコマースに取り組むに当たり意識しておくべきこととは?
上記ご紹介した4つのヒントから見えてくるのは、ソーシャルメディアの特性を活かし「話題を広めてもらう」ためには、まずは「ファンが話題にしたくなる理由をきちんと提供すること」が大切であると分かります。
ソーシャルコマースというと、どうしても「Facebook内でコマースを完結させるほうが良い」「買い物したときに簡単にシェアできるようボタンの位置を工夫したほうが良い」など、テクニカルなところにまず目が行きがちです。しかしながら、まずはその前に「ファンはどのような心理でクチコミをしようと思ってくれるのか」にしっかりと思いを馳せること、そして「ファンに喜んでもらえ、クチコミしたくなるような商品・サービスを提供し、ブランドからのメッセージをきちんと伝えること」が必要です。
ファンがシェアをするときの心理、また購買を行う際の心理についてはこちらの記事が参考になります。
【参考記事】
・SMM Labの過去記事:あなたのコンテンツがソーシャルネットワークでシェアされない9つの理由
・Social Media Experience:ソーシャルコマースの購買心理への影響
ソーシャルメディアのファンが購買に至るまでのステップを理解する
また、Facebookページのファンは、最初からあなたの「商品」に興味がある人、というよりは、あなたの「コンテンツ」に興味がある潜在顧客と認識することが大切です。
下記は、ソーシャルメディア上のファンがコンバージョンに至るまでのプロセスを示したものです。
URL:http://www.socialmediaexaminer.com/5-tips-for-moving-social-media-leads-into-the-sales-funnel/
まず最初にファンが「いいね!」してくれた状態は、上の図の一番左側にあたります。一番左側の「ブランドを認識した」ばかりの人が、いきなりステップを進めて「購入し」、一番右側の「ロイヤルカスタマー」として周りの友人にクチコミしてくれる状態になることはありません。
ですので、ページの「いいね!」が増えれば、即、見込顧客を獲得でき、売上向上や情報の拡散が期待できる、という幻想は捨てるべきでしょう。「いいね!」はまず最初の一歩であり、そこから時間をかけてエンゲージメント・信頼関係を築き上げていき、ファンに、”本当のファン”になってもらうための努力が必要なのです。そして本当のファンになってくれた暁には、ソーシャルメディアという拡散力の強いツールを通じて、周りの友人にクチコミを広げてくれるありがたい存在になってくれるでしょう。
さて、改めて、ファンがあなたのソーシャルメディア・ストアから商品を買い、友人にクチコミしたいと思う理由は何でしょうか?あなたの商品やサービスは、その理由となる「価値」を提供できていますか?そして、その「価値」は、本質的で、ユニークで、競争力のあるものになっていますか?
■参考記事:http://socialcommercetoday.com/the-social-commerce-value-proposition-infographic/
■関連記事:
・あなたのコンテンツがソーシャルネットワークでシェアされない9つの理由
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ソーシャルコマースを成功させるための4つのヒント
2012.04.19
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