こんにちは、SMMLab研究員の瀬戸口です。
今日はアメリカで今、大変注目されている職種「コミュニティマネージャー」について考えてみたいと思います。
日本ではまだまだ聞きなれない言葉ですが、普段このSMMLabで扱っているような内容を実行していらっしゃる方のことを、アメリカでは一般的に「コミュニティマネージャー」と呼びます。具体的には、TwitterやFacebookの企業公式アカウントやブログの運営、ソーシャルメディア内でのブランドに対する会話の監視などの実務者をさしますが、その役割は多岐にわたり、ブランドによっては幅広いスキルが必要とされます。アメリカでは、「営業」「エンジニア」と同じぐらいの存在価値が見出されていて、ビジネス向けSNS「LinkedIn 」に掲載されているアメリカ国内の「Community Manager」求人数は2, 466(9月27日現在)人にも上ります。ちなみに、日本でヒットしたのは残念ながら5件でした。
しかし、意識せずとも、ブランドの「中の人」としてFacebookやTwitter、ブログを運営しつつ、エンドユーザーと直接コミュニケーションを取るなど、気づかぬうちにコミュニティマネージャーとして活動していらっしゃる方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、Mashableの“The 5 Qualities of Highly Effective Community Managers” を参考に、架空のキャラクターでありながら、コミュニティマネージャーとしての有能さが話題となっているIKEAの「Anna」の事例を交えつつ、イケてるコミュニティマネージャーになるための5つの条件をご紹介します。
1.その業界にアツい情熱を注ぐことのできる人であれ
コミュニティマネージャーは、ブランドの顔でありメッセージの代弁者でもあります。すごく当たり前のことですが、情熱は誰かに後押しされるものではなく、自然と湧き出てくるものです。花屋であれば、ガーデニングに大きな情熱を燃やす人を採用したいでしょうし、パン屋であれば生地に対するこだわりやこれまで心に残っている店などを熱く語れる人材が欲しいでしょう。いわゆる、ブランドのエバンジェリスト(伝道師)のような存在が求められます。イケア・ジャパンのコミュニティマネージャー的な役割を果たしている「Anna」 は、スウェーデンに関する知識を織りまぜつつ、ユーザーへの対応をしています。とてもフランクで好感が持てますね。
2.様々な経験を持ち合わせる人であれ
コミュニティーマネージャーは、なんでもできるスーパーマンである必要があります。特に、スタートアップと呼ばれる、立ち上がって間もない会社のサービス内のコミュニティマネージャーであればなおさらたくさんの能力を必要とされます。この場合、サービスのPRやカスタマーサービスを任されるだけではなく、複数の部署にまたがった仕事をする必要も出てきます。例えばWEBサービスのコミュニティーマネージャーであれば、場合によってHTMLやCSS・PHPなどのコーディングスキルが求められることもあります。自分自身で知識があれば、エンジニアに聞かなくてもいいので、ユーザーに直接、迅速に教えてあげることができます。「Anna」 は、イケアストア内に展示してある絵画や壁紙に関する知識は言うまでもなく、スウェーデンの料理知識など様々な能力に長けています。たまにわからないことがある時の正直な対応も人間味を出すいいエッセンスになっていますね。
3.機知に富んだ人であれ
学歴や経歴がどんなに素晴らしくとも、コミュニティマネージャーに適任だとは即答できません。なにかが出来ることがコミュニティマネージャーの条件ではなく、地図を持たずに周りの状況から読み取って、目的の場所へ辿りつくことがコミュニティマネージャーに求められるスキルなのです。自分でイニシアチブを取り、舵を切ってユーザーとのコミュニケーションを取れるような人が望ましいようです。その点、イケアの
「Anna」 は大変優秀で、IKEAに置いていないものに対しても、不快な思いをさせないだけでなく、ちょっとしたユーモアも混ぜて切り返してくれます。
4.柔軟な人であれ
コミュニティマネージャーは、毎日違うタスクを負います。イベントに参加したり、新しい商品のPR活動に専念したり、オンライン上にコンテンツを提供する仕事をしたり……。毎日24時間働き続けるなんてほぼ不可能です。しかし、それを必要とされるのが、コミュニティマネージャー!会社に大きなミスがあったり、土曜日の夜に大切なイベントがあったりするかもしれません。常に何かあれば対応できる準備をしておくべきで、柔軟に動き回れる人が適任です。ブログやUSTREAMなどソーシャルメディアを上手く活用しているIKEAは、5人の担当者で分担しているようです。この記事は必見だと思うのでぜひ御覧ください。
5.素敵な人であれ
これは意識して出来る領域を超えているのかもしれませんが、コミュニティマネージャーにとって一番大切なポイントかもしれません。もし社内でコミュニティマネージャーの適任者を探すのなら、会社の外との交流だけではなく、会社の中、すなわち社員同士のコミュニケーションも違和感なくこなせる人材でないと務まりません。しかし、コミュニティにぴったりとハマる人を数値化することは到底できず、いい指標があるわけではないので人選は困難を極めます。コミュニティマネージャーとは一番最初にユーザーと接するポジションにあり、ブランドを代表し、多くの人とかかわるポジションです。ユーザーはポジティブな意見だけではなく、時としてネガティブな意見をぶつけてくる時があるかもしれません。どんなときも、好感度高く振る舞うことができる、不快に思わせない対応のできる人が相応しいようです。誰よりも気の利いたことが言える外交官というところでしょうか。先ほどからご紹介している
「Anna」 のように、架空のキャラをつくって数人で運用していくというのもひとつの手ですね。IKEAはキャラ設定がぶれないように、
「Anna」 の履歴書をはじめに書いたそうです。 面白い試みですね。
いかがでしたでしょうか。国内での成功事例としてIKEAの
「Anna」 アカウントをご紹介させて頂きました。今
「Anna」 アカウントのフォロアー数は25, 693人に達し、ソーシャルメディア上での影響力を表すKloutという数値も74と非常に高い数値を示しています。
http://klout.com/IKEA_jp_Anna 週に一回更新される、日本企業のKloutスコアをまとめたものがこちらからチェックできるのですが、
「Anna」 アカウントはトップ10に食い込む程。(ランキングに加味されていないアカウントもあるはずなので一概には言えませんが)
市場が違うので比べる必要がないかもしれませんが、ファッション系のトップが70Kloutらしいので、IKEAの
「Anna」 アカウントの影響度が伝わるかと思います。
もし、コミュティマネージャーとして仕事を任されたのであれば、ここまで影響力のあるコミュニティに育て上げたいものですね。もし他にも、コミュニティを上手くマネージメントするコツや取り組みなどがあれば、せひコメントをお聞かせください。