こんにちは、SMMLab研究員の小川です。
当SMMLabでは、過去数回の記事にて、Facebookが急成長しており今後のマーケティングにおいて欠かせないツールになるということ、また、Facebookは、その乗数効果により、より多くの人に効率的にブランドやサービスを認知してもらえる可能性があることについて述べてきました。さらに、Facebookは顧客とのエンゲージメントを高めるプラットフォームになりえることについても言及してきました。
しかし、ここで改めて認識しておきたいのは、Facebookはあくまでもツールであって、本来は元々のサービスが「人にシェアしたい、いいね!したいもの」であることが大切ということです。もちろん、ウォールへの投稿内容をどうするか、また投稿の頻度や曜日など、よりFacebookでの反応率を得られるテクニックは存在します。しかしながら、そもそも「シェアしたい内容」であるからこそ、Facebookによるマーケティングは、乗数効果を生み出していきます。
今回は、圧倒的なクチコミを生み、顧客がネットで「素晴らしい会社」とたたえる米ネット靴店ザッポスに、今後のソーシャル時代に必要とされるマーケティングのエッセンスを学びたいと思います。
■ザッポスとは?
フォーチュン誌の「最も勢いのある100社」「最も働きがいのある100社」に選ばれ、アマゾンが800億かけても買収したかったネット靴店「ザッポス」。
急成長の原動力となったのは、「リピート顧客」と「クチコミ」といわれています。広告にはほとんど費用をかけず、その費用をカスタマーサービスと顧客の満足度向上に投資し、顧客自身にクチコミでマーケティングしてもらおうというザッポス流マーケティングは、「顧客第一主義」とも言われており、「消費者との繋がり」がより一層重要視される、これからの企業活動のヒントが数多く隠されています。
■顧客がクチコミしたくなるワケ
では顧客がクチコミしたくなる、ザッポス流の「顧客第一主義」とはどのようなものか?ザッポスC.E.O、トニー・シェイ氏自らの手による自伝風経営書として大ベストセラーとなった「ザッポス伝説」から、一部エピソードをご紹介します。
・電話は重要なブランディングのツール。顧客の生涯価値を高める大きなチャンス。
ザッポスでは、カスタマーサービスを「顧客にサービス体験を印象づける重要な場」と捉えています。
特に電話によるカスタマーサービスは、一見時間ばかりがかかり、ローテクで魅力がなく聞こえるかもしれません。しかしながら、ザッポスでは、「電話は、少なくともその数分間顧客の注意を向けられると同時に、ここできちんと対応すれば、顧客はその体験をいつまでも記憶にとどめ、しかも友人たちに話してくれる重要な場」といいます。
・ ロイヤリティの高い顧客には標準以上のサービスを提供し、「ワオ!」と驚かせる。
ザッポスの商品の標準届け日数は4~5日ですが、ロイヤリティの高い顧客には、翌日配達にグレードアップして「ワオ!」と驚かせているそうです。この驚きの体験が顧客の記憶に残り、友人や家族のクチコミへつながっていきます。
・ サービスにマニュアルはない。顧客の商品選びに6時間付き合うことも。
ほとんどのコールセンターでは「平均処理時間」を基準にオペレーターの業績を評価していますが、ザッポスからすれば、それは「オペレーターとはどれだけ早く顧客の電話を切れるかを気にすることになり、素晴らしいカスタマーサービスを提供しているようには思えない」といいます。また、電話口でセールスするようなこともありませんし、マニュアル原稿もありません。大切にしているのは、「顧客との個人的な気持ちのつながり」であり、時には顧客の商品選びに6時間付き合うこともあるそうです。
上記全てに共通しているのは、徹底的に「顧客体験」の向上を追及しており、それがクチコミにつながっている、という点です。顧客が経験した素晴らしいサービスは、発達したソーシャルメディア、ソーシャルネットワークの中に広がっていき、ブランドの価値を高めているのです。
以上、今回は、ザッポスを例にして、ソーシャル時代のマーケティングにおいて改めて考えておきたいことについてお届けいたしました。
尚、当SMMLabでは、大ベストセラー「ザッポス伝説」の監訳・訳を手掛けられた本荘修二氏をメインスピーカーにお迎えして、広告宣伝費を掛けずに急成長したザッポスの”超顧客主義”による逆転発想の経営術、ソーシャル時代のマーケティングを考えるセミナーを開催します。
以下のページから詳細をご確認いただけますので、ぜひご覧ください。
http://www.aainc.co.jp/seminar/?ref=smmlab0829
■ 参考書籍
顧客が熱狂するネット靴店「ザッポス伝説」
アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか(ダイヤモンド社)
トニー・シェイ=著、本荘修二=監訳、豊田早苗/本荘修二=訳
■関連する記事
・なぜFacebookは未来のマーケティングなのか?そのキーワードは乗数効果にあった!(2011/8/5)
・ビジネス用Facebookページを始める前に考えておきたいこと(2011/8/2)
・Webとリアルを繋ぐ「Facebook」で取り組む新しいマーケティング(2011/7/21)
ソーシャル時代のマーケティングに本当に必要とされること~急成長の米ネット靴店ザッポスに学ぶ~
2011.08.31
この記事をシェアする